天然の甘美なあじわい

それは時代を超えて愛されてきた自然の産物で、誰にでも役に立つようハイスタンダードに作られた品。子供たちにはちょっと甘いもの、病気の人には天然の薬、そして朝食や伝統スイーツに欠かせない甘味料。多様性と伝統に彩られた黄金色の天然の味覚をもとめているなら、ハチミツに勝るものはありません。クロアチアを訪れることに決めたなら、ハチミツの国を訪れるのだと知りましょう。その理由はここでご説明します。

地中海式食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されているため、クロアチアを訪れる人たちは、何世紀にもわたっておばあちゃんから引き継がれてきたレシピに使われるシンプルで新鮮な自然の食材に魅力を感じていますが、ハチミツはまさにそうした何千年も続いてきた食文化の一部を形作ってきました。

たとえば、魔法にかけられたかのような島、ムリェットMljet島のいにしえの名前は、ハチミツを意味するギリシャ語の「メリタ」とラテン語の「メル」に由来し、その森にハチの群れがすんでいた過去を示唆しています。その昔、ムリェット島に漂着した聖パウロやオデュッセウスは、きっとその天然の甘い滋養を楽しんだことでしょう。

クロアチアの島におけるハチミツに関する記述は、フヴァール島のスタリ・グラードの郷土菓子スタログロイスキ・パプレニョクStarogrojski paprenjokスパイスクッキーの主要材料として16世紀にまでさかのぼり、詩人ペタル・ヘクトロヴィッチの「漁と漁師の対話」にも登場します。この焼き菓子の歴史は、およそ八百年前にさかのぼり、話に登場する漁師が航海に出る前、その妻たちが持たせた繊細なデコレーションがほどこされたおいしいクッキーは、いまでは、とびきりのフヴァール島のお土産です。

クロアチア産ハチミツは高品質を誇り、国際的にも高く評価されています。一例をあげると、2011年にアルゼンチンで開催された国際養蜂協会連合会合で、シュチェドロŠćedro島産のローズマリー単花蜜は4位の成績をおさめました。実際、クロアチア産単花タイプハチミツは、その成功の鍵のひとつでもあります。よりどりみどりの香り高い花々にめぐまれ、働き者のハチたちはチョイスにちょっと甘やかされ、その結果、ハチミツのフレーバーの種類は実に豊富。なかでももっとも特筆に値するのは、コルナティKornati産のセージ・ハチミツとショルタŠolta島のローズマリー・ハチミツです。

クロアチアの養蜂家たちはとてもアクティブ。最高品質のハチミツ製品づくりをもとめて、さまざまに異なる気候条件を利用するため、たとえば、島の養蜂家たちは、春が終わるとハチの巣箱を島からクロアチア本土に移動させることも一般的です。これは、ハチの群れの形成に、気温や地域、降水などのさまざまな要因がかかわっているため。地中海域の長く暑い夏は、養蜂にとって理想的ではないので、その期間中、養蜂家の多くは、働き者のミツバチたちを本土の少し涼しい気候に移してやるのです。

ここ数年、クロアチアのハチミツ生産者は観光業の分野にも進出、田舎ツーリズム市場が拡大するなか、ハチミツ・ツアーも次第に人気のアトラクションとなってきました。このため、ツアー参加者がこの天然の滋養を試食できる機会を得られるようになっただけでなく、子供たちがハチミツ生産の全過程について学べる機会も増えています。そして一つの巣箱には八万匹ものミツバチがすんでいることから、にぎやかな状態なのはまちがいありません!

 

自然の産物なら、なんでもラキヤrakija(高アルコール度の蒸留酒)にしてしまうのがクロアチア流。そしてハニー・ラキヤ(メデナmedenaラキヤやメディツァmedica、メドヴァチャmedovača)も、もちろん例外ではありません。そしてほとんどのラキヤと同様に、多くの慢性疾患には毎日1-2杯のラキヤを飲むのが一番の薬だと、地元の人たちは言うことでしょう。

ハチミツを用いたちょっと変わったアルコール類といえば、「グヴィルツgvirc」。これは、最古のアルコール飲料であると言われ、ワイン醸造と似たプロセスでハチミツを発酵させた飲み物。発酵過程にブドウを用いる場合と用いない場合の両方があります。またクロアチア各地でみられるこの派生物として、ハチミツ酢があり、これはサラダドレッシングにぴったりです。もしもっとスペシャルなものをお探しなら、パグ島へ行って、地元産のスパークリング・ハニーワインを楽しみましょう。

でもクロアチアの子供たちならだれもが大好きな一番のハチミツのおやつといえば、メデニャツィmedenjaciに勝るものはないでしょう。これは、クローブ、シナモン、ジンジャーとナツメグで味つけられたスパイスハニークッキー。そして、メデニャツィで一番愛されているものといえば、首都ザグレブのシンボル、リツィタル・ハートでしょう。

リツィタル・ハートは、ザグレブのシンボルとなっていますが、実はその起源はもう少し北部。おいしいハートがもとになっている伝統工芸は、「クロアチア北部のジンジャーブレッドクラフト」として、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

クロアチアらしいといえば、自然の味わいを祝うのにお祭りがつきもの。そしてハチミツ好きならオグリンOgulinへ向かいましょう。今年6回目を迎えるのは、オグリン・ハチミツとオグリン産キャベツの日々。毎年九月、このエリアのベストハニーが集まる人気のイベントです。

養蜂業とハチミツは、海岸部でもっともよく目につきますが、実はその伝統は、クロアチア全土に広がっています。実際、今でも現存するクロアチア最古の養蜂協同組合はオスィエクででき、その歴史は1879年にさかのぼります。パンノニア地方は、重要で多様なハチミツ生産エリア。地形と植生が多様性にとんでいるため、蜜源植物の開花期も2月から9月までと長いのが特徴です。

中部山岳地帯のようなアクセスがあまり容易でない地域でさえ、クロアチアでは養蜂の伝統があります。そこは養蜂家の数は少なく、花の種類も多様ではありませんが、高品質を誇り、蜜は重要な役割を果たしています。

 

最後に、クロアチアの海岸部と内陸部の間をドライブする人向けに、ハチミツを買うコツを伝授しましょう。道路わきでハチミツやその他の自然の産品を販売している屋台をよく目にしますが、彼らは通常自家製産品の生産者で、新鮮なクロアチアの天然のあじわいを消費者に直接販売しているのです。

もしここに挙げた情報だけでは、甘さが足りないようなら、ガレシュニツァGarešnica郊外にある初のミツバチ用五つ星ホテルを訪れましょう。そこではハチミツ朝食を食べることができるのです!